2.2 サポートされるデータ転送方法

PlateSpin Migrateでは、選択されたワークロードおよびマイグレーションタイプに応じて、ワークロードデータをソースからターゲットへ転送する異なる方法を選択できます。

転送方法の選択方法については、変換(データ転送方法)を参照してください。

2.2.1 ファイルレベルの転送(ライブ)

Windowsワークロードに使用できるファイルベースのライブ転送方法では、ファイルレベルでデータのコピーおよび変更の複製が行われます。

データの整合性を保証するために、この方法はMicrosoft Volume Shadow Copy Service (VSS)を利用できる場合は、それを利用します。多くのエンタープライズアプリケーションはVSSを使用して統合されています。そうではない場合、PlateSpin MigrateはVSSスナップショットを取得している間にサービスを一時停止して、アプリケーションのデータが整合性のある状態で取得されることを保証する能力があります。

VSSが使用できない場合(たとえば、ワークロードがService PackなしのWindows 2003で実行中の場合)、PlateSpin Migrateはデータ転送中に変化するソースボリュームをモニタリングできます。最初の転送が完了すると、変更されたファイルの再送信をマイグレートします。ファイルシステムの変更速度が一貫して高い場合、データ転送が停止され、ジョブ進行状況の警告が示されます。

転送中に、Microsoft SQL ServerまたはMicrosoft Exchange Serverなどのトランザクション負荷の高いサービスを停止するマイグレーションジョブを設定することができます(レプリケーションまたはカットオーバーの前に停止するサービスまたはデーモンを参照)。これには、次の2つの利点があります。

  • これらのアプリケーションのデータベースがより一貫した状態で転送されるように保証します。

  • ファイルシステムの変化速度を下げ、PlateSpin Migrateがその速度に追いつき、転送を完了できるようにします。

この方式は、適度にアクティブなシステムに適していると考えられ、ターゲットワークロード上のボリュームのサイズを変更できます。

2.2.2 ブロックレベルの転送(ライブ)

WindowsワークロードとLinuxワークロードの両方で使用できるブロックベースのライブ転送方式では、PlateSpin Migrateがブロックレベルでデータを転送できるので、厳密にソースワークロードのコピーを取得できます。

Windowsのワークロードの場合、PlateSpin MigrateはMicrosoftボリュームスナップショットサービス(VSS) (Windows Server 2003 SP1以降)をサポートするアプリケーションとサービスでVSSを活用します。

メモ:ソースWindowsワークロードにブロックベース転送ドライバをインストールする前に、ワークロードに最新のWindows更新プログラムが適用されていることを確認してください。

Linuxワークロードの場合、Migrateは、blkwatchドライバを使用したブロックベースのデータ転送のみをサポートします。Migrateのディストリビューションには、サポート対象Linuxディストリビューションの非デバッグ標準カーネルが動作するワークロードに対応した、事前コンパイル済みのblkwatchドライバが付属します。詳細については、「セクション E.2, Linuxディストリビューション用に事前コンパイルされたblkwatchドライバ」を参照してください。

ワークロードが非標準カーネル、カスタマイズされたカーネル、または新しいカーネルを使用している場合は、その特定のカーネルに対応したカスタムblkwatchドライバをビルドできます。ナレッジベースの記事7005873「カスタムのブロックベースLinuxカーネルドライバをビルドする方法」を参照してください。

メモ:blkwatchドライバの展開または削除は、透過的に行われ、継続性に影響はなく、再起動が必要ありません。

LVMスナップショットが利用可能な場合、blkwatchドライバはLVMスナップショットを利用します。開いているファイルがあると競合が発生する可能性がありますが、スナップショットからデータをコピーすることで、この問題を防止できます。ナレッジベースの記事7005872「LVMスナップショットを使用したLinuxワークロードのマイグレーションと保護」を参照してください。LVMスナップショットが使用できない場合、Migrateはブロックごとにロックとリリースを繰り返してデータ転送を行います。

ブロックベースのライブ転送方式は、WindowsおよびLinuxのワークロード両方に関して推奨されるデータ転送方式です。

2.2.3 一時ブート環境を使用したオフライン転送

この方法により、PlateSpin Migrateがソースマシンを一時的な事前実行環境にブートし、ソースがオフライン時にデータを転送できるようにします。この方法は、PlateSpin Migrate Webインタフェースには適用できません。

メモ:オフライン転送方式を使用すると、Windows Server 2003 SP0ワークロードをマイグレートすることができます。

オフライン転送方式を使用してWindows Server 2003ワークロードをマイグレートする前に、次の手順を実行する必要があります。

  1. そのワークロード上のboot.iniファイルを編集して、/noexecuteパラメータをalwaysoffに設定します。

  2. そのワークロードを再起動します。

オフライン転送方法の基盤となる実行前の環境では、Linux RAMDisk (LRD)が使用されます。これには、初期の一時的なブートを行うのに十分なシステムファイル、ドライバ、および実行可能ファイルの最小限のセットが含まれています。ソースオペレーティングシステムが一時的な事前実行環境で正常にロードおよび動作可能であることを確認するために、PlateSpin Migrateは一時的にブートファイルを変更して、事前実行環境が正常にロードされた後でそれらを元の状態に復元します。

RAMDiskは、X2Pマイグレーションでターゲットの物理マシンを一時的にブートしたり、半自動のマイグレーションでターゲットのVMをブートしたりするためにも使用されます。、およびPlateSpin ISOによる仮想ホスト上のターゲットVMの登録とその詳細の検出を参照してください。PlateSpin ISOによるターゲット物理マシンの登録とその詳細の検出